轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
今宵の祝賀の的であるべき花嫁を初め、親や仲人が、銘々の苦しみに悶えているにも拘わらず、祝賀の宴は、飽くまでも華やかだった。価高い洋酒が、次ぎから次ぎへと抜かれた。料理人が、懸命の腕を振った珍しい料理が後から後から運ばれた。低くはあるが、華やかなさゞめきが卓から卓へ流れた。
デザートコースになってから、貴族院議長のT公爵が立ち上った。公爵は、貴族院の議場の名物である、その荘重な態度を、いつもよりも、もっと荘重にして云った。
「私は、茲に御列席になった皆様を代表して、荘田唐沢両家の万歳を祈り、新郎新婦の前途を祝したいと思います。何うか皆様新郎新婦の前途を祝うて御乾杯を願います。」
公爵は、そう云いながら、そのなみ/\と、つがれた三鞭酒の盃を、自分と相対して立っている逓相の近藤男爵の盃に、カチリと触れさせた。
それと同時に、公爵の音頭で、荘田唐沢両家の万歳が、一斉に三唱された。
丁度その時であった。その祝辞を受くるべく立ち上ろうとした唐沢男爵の顔が、急に蒼ざめたかと思うと、ヒョロ/\とその長身の身体が後に二三歩よろめいたまゝ、枯木の倒れるように、力なく床の上に崩れ落ちた。