轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
「お父様暫らく御辛抱して下さいませ。直きにお父様の許へ帰って行きます。どうぞ、妾を信じて待っていて下さいませ。」
遉に彼女の眼にも、湯のような涙が、ほたほたと溢れた。
父は、瑠璃子の言葉を聴くと大きく肯きながら、
「お前の決心を忘れるな。お父さんが、今宵受けた恥を忘れるな。」
父が低く然し、力強くこう呟いた時、自動車は軽く滑り出していた。
父を乗せた自動車が、出で去った後の車寄に附けられた自動車は、荘田がつい此間、伊太利から求めた華麗なフィヤット型の大自動車であった。新郎新婦を、その幾久しき合衾の床に送るべき目出度き乗物だった。
瑠璃子は、夫――それに違いはなかった――に招かるゝまゝ、相並んで腰を降した。が、その美しい唇は彫像のそれのように、堅く/\結ばれていた。
勝平は、何うにかして、瑠璃子と言葉を交えたかった。彼は、瑠璃子の美しさがしみ/″\と、感ぜられゝば感ぜられる丈、たゞ黙って、並んでいることが、愈苦痛になり出した。
彼は、瑠璃子の顔色を窺いながら、オズ/\口を開いた。
「大変沈んでおられるようじゃが、そう心配せいでもようござんすよ。俺だって貴女が思っているほど、無情な人間じゃありません。