轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
ほんとうのお父様になっていたゞきたいのよ。」
そう言いながら、彼女はこぼるゝような嬌羞を、そのしなやかな身体一面に湛えた。
「あゝ、いゝとも、いゝとも。」勝平は、人の好い本当の父親のように肯いて見せた。
「ほゝゝゝ、それは嬉しゅうございますわ、本当に、妾を娘にして下さいませ。それも、ほんの少しの間ですの。お約束しますわ。半年、本当に半年でいゝのよ。でも、そうじゃございませんか。妾、まだ年弱の十八でございましょう。学校を出てから、まだ半年にしかなりませんのですもの。それに、今度の話でございましょう、それに、いろ/\な事件で、興奮して、まだその興奮が続いているのでございましょう。結婚生活に対する何の準備も出来なかったのでございますもの。貴君の本当の妻になるのには、もう少し心の準備が欲しいと思いますの。貴君に対する愛情と信頼とを、もっと心の中で、準備したいと思いますの。だから、暫らくの間、本当に美奈子さんの姉にして置いて下さいませ。『源氏物語』に、末摘花と云うのがございましょう。あれでございますの。」
そう云いながら、瑠璃子は嫣然と笑った。勝平は、妖術にでもかゝったように、ぼんやりと相手の美しい唇を見詰めていた。