轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
勝平は、何うかして瑠璃子をたしなめようと思いながらも、彼女の快活な言葉と、矢継早の微笑に、面と向うと、彼は我にもあらず、凡ての言葉が咽喉のところに、からんでしまうように思った。
「昨夜、よくお眠りになって? 妾芝居で疲れましたでしょう、今朝まで、グッスリと寝入ってしまいましたのよ。こんなに、よく眠られたことはありませんわ、近頃。」
昨夜の騒ぎを、親子三人のあさましい騒ぎを、知っているのか知らないのか、瑠璃子はその美しい顔の筋肉を、一筋も動かさずに、華奢な指先で、軽く箸を動かしながら、勝平に話しかけた。
勝平は、心の裡に、わだかまっている気持を、瑠璃子に向って、洩すべき緒を見出すのに苦しんだ。相手が、昨夜の騒ぎを、少しも知らないと云うのに、それを材料として、話を進めることも出来なかった。
彼は、瑠璃子には、一言も答えないで、そのいら/\しい気持を示すように、自棄に忙しく箸を動かしていた。
勝平の不機嫌を、瑠璃子は少しも気に止めていないように、平然と、その美しい微笑を続けながら、
「妾、今日三越へ行きたいと思いますの。連れて行って下さらない?」
彼女は、プリ/\している勝平に、尚小娘か何かのように、甘えかゝった。