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しんじゅふじん

真珠夫人

菊池 寛

「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页

青空文庫

金が出来るのに従って、金で自由になる女とも沢山接して見ましたが、どの女もどの女も、たゞ玩具か何かのように、弄んでいたのに過ぎないのです。俺は女などと云うものは、酒や煙草などと同じに、我々男子の事業の疲れを慰めるために存在している者に過ぎないとまで高を括っていたのです。所がです、俺のそうした考えは貴女に会った瞬間に、見事に打ち破られていたのです。男子の為に作られた女でなくして、女自身のために作られた女、俺は貴女に接していると、直ぐそう云う感じが頭に浮かんだのです。男の玩具として作られた女ではなくして、男を支配するために作られた女、俺は貴女を、そう思っているのです。それと一緒に、今まで女に対して懐いていた侮蔑や軽視は、貴女に対してはだん/\無くなって行くのです。その反対に、一種の尊敬、まあそう云った感じが、だん/\胸の中に萌して来たのです。結婚した当座は、何の此の小娘が、俺を嫌うなら嫌って見ろ! 今に、征服してやるから。と、こう思っていたのです。所が、今では貴女の前でなら、どんなに頭を下げても、いいと思い出したのです。貴女の愛情を、得るためになら、どんなに頭を下げても、いゝと思い始めたのです。