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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
」
そう、心の底を見抜かれると、美奈子は、サッと色を変えながら、うつ伏してしまった。
「美奈さん、貴女は、一昨日の晩、妾と青木さんとが、話したことをすっかり、お聴きになったのでしょう。いゝえ、貴女がお聴きになったのではなく、貴女がいらっしゃるとは知らずに、妾達がいろ/\なことを話しましたでしょう。妾、あの晩部屋へ帰ろうとして、外出なさろうとする貴女のお顔を見たときに、もう凡てが分ったような気がしたのです。絶望その物のような貴女のお顔を見て、妾は、凡てが分ったような気がしたのです。妾は、それまでにもしやと思ったことが、一二度あったのです。そのもしやが、本当だと云うことが分ると、妾は、大変なことが起ったと思ったのです。妾の犯した失策が、取り返しのつかないものだと云うことを知ったのです。」
母の言葉が、ます/\真剣な悲痛な響を帯びて来た。
美奈子は、俎上に上ったような心持で、母の言葉をじっと聴いている外はなかった。恥かしさと悲しさとで、裂けるような胸を持ちながら。
「妾、今度のことで、妾の生活が全然破産したことを知ったのです。男性に向って吐いた唾が、自分に飛び返って来たことを知ったのです。