Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme

Aozora Bunko

窓は二つあるが、一つは塞いであり、北側の小さな窓からだけ、昼のうち外の光りがさし込んで来た。

それが北側だということは、日光がささないのと、あけて置くといつも風がまともに吹き込むのでわかった。それで、その窓も閉めておかなければ寒いので、部屋の中はいつも暗いのであった。

つなは端然と坐っていた。

そこは暗いし寒かった。板敷の上にうすべりを敷いただけで、坐っていると、板の冷たさが骨へじかに感じられた。

片隅に夜具が一枚あるだけで、ほかにはなに一つない。脆くなった白壁はところどころ剥げていた。太い棟木のむきだしになっている天床からは、黒い煤が繩のように垂れ下っていた。

つなはかなり痩せてみえた。

ひき緊った小さめの顔の、頬がこけ、高い鼻がいっそう高くみえる。肌の色も艶がなく、あのよく澄んだきれいな眼には、殆んど絶望的な苦悩があらわれていた。

七日まえから、つなはそこにそうして坐っているのである。

つなは繰り返し、自分の軽率を恥じていた。

七日まえの午後、彼女はあの荷駄を調べにいったのであった。江戸から送られて来た紀州家の荷駄は、この町のすぐうしろにある豪家で、古木甚兵衛という者の邸内へ運び込まれた。