Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
若者ははっと息をひいた。投げだしていた足をちぢめわれ知らず立とうとしたが、縛られている繩に引かれて、どしんと尻もちをついた。
「助けて下せえ、死ぬのはいやです、おら本当に悪かったと眼がさめただし、親父やおふくろに嘆きをみせたくねえです」
若者は激しく咳きこんだ。渇いている喉で、いきなり夢中に叫びだしたからに相違ない。万三郎は「しっ」と制止した。
「ほかの者に聞えるぞ、もっと静かにしろ」
「へえ、へえ済みません」
「夕方おまえも見たろう」
と万三郎は低い声で云った。
「あれはおれの兄だが、いちどこうと思ったら雷が落ちてもあとへは退かない性分だ、ましてこんどの調べは天下の大変にも関することで、みんなそれぞれが命がけなんだ、実際のところ二人や三人の生死にかまってはいられないんだが、しかし、おれにはおれで思案がある」
若者はごくっと唾をのんだ。
「いいか、よく聞くんだぞ」
と万三郎はひそめた声に力をこめて云った。
「兄はおまえを斬るつもりだが、おれはどうかして生かしてやりたい、それには、おまえにそれだけの事をしてもらわなければならないんだ」
「します、どんな事でもします」