轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
「それで、それで、何うなったと云うのでございます。」
彼女は、身を顫わしながら訊いた。卓の上にかけている白い蝋のような手も、烈しい顫えを帯びていた。
「あの軸物の本当の所有者は荘田なのだ。彼奴は、俺に対して横領の告訴を出しているのだ。」
父は吐くように云った。蒼白い頬が烈しく痙攣した。
「そんな事が罪になるのでございますか。」
瑠璃子の眼も血走ってしまった。
「なるのだ! 逆に取って、逆に出るのだから、堪らないのだ。預っている他人の品物は、売っても質入してもいけないのだ。」
「でも、そんなことは、世間に幾何もあるではございませんか。」
「そうだ! そんなことは幾何でもある、俺もそう思ってやったのだ。が、向うでは初から謀ってやった仕事だ。俺が少しでも、蹉くのを待っていたのだ。蹉けば後から飛び付こうと待っていたのだ。」
瑠璃子の胸は、荘田に対する恐ろしい怒で、火を発するばかりであった。
「人非人奴! 人非人奴! どれほどまで執念く妾達を、苦しめるのでございましょう。あゝ口惜しい! 口惜しい!」
彼女は、平生のたしなみも忘れたように、身を悶えて、口惜しがった。
「お前が、そう思うのは無理はない。