轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんじゅふじん

真珠夫人

菊池 寛

「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页

青空文庫

瑠璃子夫人は、それを聴くと、躍り上るようにして欣んだ。

「一葉! 妾スッカリ忘れていましたわ。そう/\一葉がいますね。妾が、今まで読んだ小説の女主人公の中で、あの『たけくらべ』の中の美登利ほど好きな女性はないのですもの。」

「御尤もです。勝気で意地っ張なところが貴女に似ているじゃありませんか。」

秋山氏は、夫人を揶揄するように云った。

「まさか。」

と、夫人は打ち消したが、其の比較が、彼女の心持に媚び得たことは明かだった。

「一葉! そう/\あれは天才だ、夭折した天才だ! 一葉に比べると、紅葉なんか才気のある凡人に過ぎませんよ。」

小山男爵は、信一郎に云い伏せられた腹癒がやっと出来たように、得々として口を挟んだ。

「そうだ! 『たけくらべ』と『金色夜叉』とを比べて見ると、どちらが通俗小説で、どちらが芸術小説だか、ハッキリと分りますね。渥美さんの御意見じゃ、『金色夜叉』よりも六七年も早く書かれた『たけくらべ』の方が、もっと早く通俗小説になっている筈だが、我々が今読んでも『たけくらべ』は通俗小説じゃありませんね。決してありませんね。」

三宅も、信一郎の方を意地悪く見ながら、そう云った。