轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
四
「木下が、何うしたと云うのでございます。」
瑠璃子も、父の激昂に誘われて桜色に充血した美しい顔を、極度に緊張させながら、問い詰めた。
「此間、彼奴が持って来た軸物を、何だと思う、あれが、俺を陥れる罠だったのだ。あれは一体誰のものだと思う。友達のものだと云う、その友達は誰だったと思う。」
父は、眼を熱病患者のそれのように光らせながら、じっと瑠璃子を見下した。
「あれは誰のものでもない、あの荘田のものなのだ。荘田のものを、空々しく俺の所へ持って来たのだ。」
「何の為でございましたろう。何だってそんなことを致したのでございましょう。でも、お父様はあの晩、直ぐお返しになったではございませんか。」
瑠璃子が、そう云うと父の顔は、見る/\曇ってしまった。彼は、崩れるように後の腕椅子に身を落した。
「瑠璃さん! 許しておくれ! 罠をかける者も卑しい。が、それにかゝる者もやっぱり卑しかったのだ。」
父は、そう云うと肉親の娘の視線をも避けるように、面を伏せた。
四
暫らくは、強い緊張の裡に、父も子も黙っていた。が、父はその緊張に堪えられないように、面を俯けたまゝ、呟くように云った。