轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
三
兄の方は、二十三四だろう。銘仙らしい白い飛白に、袴を穿いて麦藁の帽子を被った、スラリとした姿が、何処となく上品な気品を持っていた。妹はと見ると、まだ十五か十六だろう、青味がかった棒縞のお召にカシミヤの袴を穿いた姿が、質素な周囲と反映してあざやかに美しかった。
美奈子達が、段々近づいてその墓地の前を通り過ぎようとしたとき、ふと振り返った妹は、美奈子の顔を見ると、微笑を含みながら軽く会釈した。
三
妹らしい方から会釈されて、美奈子も周章てながら、それに応じた。が、相手が誰だか、容易に思い出せなかった。長い睫に掩われたその黒い眸を、何処かで見たことのあるように思った。が、それが何うしても美奈子には思い出せなかった。
「人違いじゃないのかしら。」
そう思って、美奈子は一寸顔を赤くした。
が、美奈子がその墓地の前を通り過ぎようとして、二度その兄妹らしい男女を見返ったとき、今度は兄の方が、美奈子の方を振り返っていた。恐らく妹が、挨拶したので、一寸した興味を持った為だろう。美奈子の眸は、当然その青年の顔を、正面から見た。その刹那美奈子は、若い男性と、咄嗟に顔を見合わした恥かしさに、弾かれたように、顔を元に返した。