轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんじゅふじん

真珠夫人

菊池 寛

「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页

青空文庫

三

「何です? 仰しゃって御覧なさい。」

夫人は、微笑しながら、しかも言葉丈は、命令するように云った。

「云っても介意いませんか。」

「介意いませんとも。」

夫人は、ニコ/\と絶えず、微笑を絶たなかった。

「じゃ申上げますがね。」彼は、夫人の顔色を窺いながら云った。「青木君を、お連れになると云うじゃありませんか。」

それに附け加えて、皆は口を揃えるように云った。

「何うです、奥さん。当ったでしょう。」

皆の顔には、六分の冗談と四分の嫉妬が混じっていた。

「奥さん、いけませんね。貴女は、皆に機会均等だと云いながら、青木君兄弟にばかり、いやに好意を持ち過ぎますね。」

小山と云う外交官らしい男が、冗談半分に抗議を云った。

美奈子は、母が何と答えるか、じっと聞耳を立てゝいた。

三

「まあ! 青木さんを連れて行くって。嘘ばっかり。青木さんなんか、まだ兄さんの忌も明けていない位じゃありませんか。」

瑠璃子夫人は、事もなげに打消した。美奈子は、母が先刻自分に肯定したことを、こうも安々と、打ち消しているのを聴いたとき、内心少からず驚いた。自分に対しては可なり親切な、誠意のある母が、こうも男性に向っては白々しく出来ることが、可なり異様に聞えた。