Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lisez 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 244 473 caractères · 487 écrans
「どちらへ帰るんですか」
万三郎は後から送って出ながら訊いた。女はなにか答えたが、階段の途中のことで、こちらには聞きとれなかった。
「夜道で危ないから送りましょう」
「いいえ駕籠が待たせてございますの」
「どこまで帰るんですか」
万三郎はもういちど同じことを訊いた。しかし、そのとき二人は店へおりたところで、彼女が女中に向って、雨よけを取ってくれ、と云うのと同時だったので、やはり返辞は聞けなかった。
――云えないんだな。
万三郎はそう思った。
――この偽者め。
彼はもうそういっても間違いないと思った。
女は頭巾をかぶり、雨よけの被布を被ると、無言でそっと会釈をして、出ていった。万三郎は土間におり、駕籠の提灯が、紀伊家(この海辺にもあった)の屋敷のほうへゆくのを見届けると、とっさに思いついて振返り、
「ちょっと合羽を貸してくれ」
とそこにいる女中に云った。
「なんでもいい、いそぐんだ、いまの客に云い忘れたことがあるから――」
女中が雨合羽を持って来た。誰か使ったばかりらしい、土間の壁に掛けてあったので、まだ濡れていた。
彼はそれを頭からかぶり、その家の下駄をつっかけたまま外へとびだした。