Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Lisez 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 244 473 caractères · 487 écrans

Aozora Bunko

六

「――お盃だって、またか」

「ええ、お寝間でよ、それが本当のかための盃っていうんですわ」

そう云って襖をあけた。

六曲の屏風をまわした中に、夜具がのべてあり、祝いの膳が置いてあった。それらのものを、絹行燈のやわらかい光りが、嬌めかしく照らしだしていた。

六

二人だけで、――かよのいうかための、――盃を済ませた。

それまで浮き浮きとはしゃいでいたかよは、盃が終ったとたん、静かにうなだれて、しんと沈黙した。

白羽二重の寝衣に鴇色のしごきを緊め、髪毛は解いて背に垂れている。豊かにくびれた腰の線や、重たげに張りきった胸のふくらみが白一色に消されて、いつもの陽気で嬌羞にあふれているかよとはまったくべつな、初い初いしく、殆んど清浄な印象を与えるのであった。

「なにを悄気ているんだ」

万三郎が手を伸ばしながら云った。

「――心ぼそくなったのか」

かよはそっと頭を振った。さし伸ばされた万三郎の手には気がつかないらしい、――見ると膝の上へぽとぽと涙がこぼれ落ちた。

万三郎は狼狽し、どうしていいかわからなくなった。むやみにかよがいじらしく、哀れなように思われ、劬り保護してやりたいという、激しい衝動に駆られた。