Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Lisez 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 244 473 caractères · 487 écrans

Aozora Bunko

万三郎が観音谷へ着いたのは夜の九時ころで、その夜は火薬の所在を捜すつもりであった。いちど伝次と共に丸太小屋へ入り、すぐに(例の如く)裏の非常口からぬけ出した彼が、貯蔵庫の脇へ出たとたん、人の声がするので、すばやく物蔭へ身を隠した。

声は番士小屋のほうから、しだいにこっちへ近づいて来た。

「いったいどこへいらっしゃるんですか」

「うるさいな、黙って来ればいいんだ」

「だって寒うございますわ」

かよの声であった。

「なにが寒いものか、お互いに酔った躯で、夜気がひんやりとこころよいくらいではないか」

「酔っているのは太夫さまだけですわ」

「なにを云うか、知っているぞ」

二人はそこへ来、そして右のほうへ、もつれあいながら通り過ぎた。

男は初めの夜、荷駄といっしょに着いたあの身分ありげな武士であった。

――渡辺蔵人だな。

万三郎はそう思いながら、物蔭を伝って二人のあとをひそかに跟けていった。

男はかよの肩へ手をまわし凭れかかるような恰好で、足もとも危なく、よろめきながら歩いてゆく。かよは突然身をもがいた。

「なにをなさいますの」

「騒ぐなよ、――ちょっと手がすべっただけだ」