Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lisez 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 244 473 caractères · 487 écrans
おちづは松吉姐さんにも油断しなかった。升屋へゆく舟の中で、旦那の岡さまの凄く変った表情を見てから、岡さまが急に底の知れない人のように思えてきたし、それにつながる松吉にも、しぜん用心する気持になったのであった。
「そうすると、この手紙を真崎稲荷の近くの、この寮へ届けてくれ、と書いてあるって云われたものですから」
「持っているのね、その手紙」
「ええ持ってます、これですわ」
おちづの取出した結び文を、つなは奪い取るようにして、披いて見た。
万三郎の筆蹟であった。
煤を濡らして棒の先ででも書いたのだろう、ひどくかすれた大きな文字であった。
「有難うよおちづさん」
つなはおちづの手を掴んだ。
「この手紙を書いたのは、わたくしたちにとって大事な人なの、十日ばかりまえから行方がわからないので、みんなでどうしようかと心配していたのよ」
「もしかして、それは」
とおちづは口ごもりながら、
「あの、花田万三郎さまじゃないんですか」
「あなた知っておいでなの」
「ええ、十日ばかりまえだとすると、あたし花田さまに道でお会いしたんです」
おちづははっきり思いだした。
永代寺門前町の裏河岸で、屁十と三島に捉まったときのことである。