Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lisez 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 244 473 caractères · 487 écrans
「私が付いているからね、なにも心配することはないんだよ」
彼はそう云いながら、膝を寄せて、かよの手を取った。
「もうかよには決して苦労もさせないし、悲しいおもいもさせやしない、どんな事が起こったってきっとかよを護ってあげるよ」
かよは万三郎の膝に俯伏し、彼の手へ、自分の濡れている頬を押当てながら、声をころして咽びあげた。万三郎が片方の手で髪を撫でると、その手も取って、二つの手へ烈しく頬ずりをし、熱い唇を押しつけた。
「――困るよ、かよ」
万三郎はすっかりあがってしまい、胸のあたりが苦しくなった。
「――どうしたらいいんだ」
かよはふいに顔をあげた。そして、涙に濡れた頬を、手の甲で(子供のように)拭きながら笑いだした。万三郎はほっとし、これも誘われて、ぶきように笑いだした。
「困らせてごめんなさい、あまえてみたかったの」
とかよは云って、万三郎をやさしく睨んだ。
「でもあなたって、なんて――」
そう云いかけたかと思うと、急に燃えるような眼つきになり、すばやく立っていって、絹行燈を消した。まっ暗になった寝間の中に、吃驚したような、万三郎の低い叫び声が聞えた。
明くる朝はやく、――