Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Lisez 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 244 473 caractères · 487 écrans

Aozora Bunko

「それはなによりだ」

万三郎はそのまま風呂場へ下りていった。

――なにがどうしたっていうんだろう。

風呂場の中でも彼は思い惑った。

――一家ぜんぶ焼死。

――どうしたわけだ。

風呂から出て、熱い茶を啜りながらも、万三郎はおちつくことができなかった。

「あの子供は捉まるとおれも殺されるといった、おれが殺されるって、誰に、なんのために殺されるんだ」

独り言を云いながら、窓の外へ眼をやった。

昏れかかって明るい海の上を、帆をおろしながら帰ってゆく漁舟がつぎつぎにはしり過ぎた。岸に沿って小さな堀があり、この増六の持ち舟であろう、屋根舟をまぜて、七艘ばかりもやってあった。

左のほうに明石町へ渡る寒さ橋が見え、いそぎ足に往き来する人の姿が、いかにも夕暮らしく侘しく眺められた。

「麹町の家へいってみるか」彼はふとそう呟いた。

しかし立つ気はしなかった。少年はそこで待っていろと念を押した。そこで待っていればお嬢さんがゆく、――お嬢さん。

「てんでわからない」

やけのように首を振り、彼はそこへ横になった。

「ぜんぜん夢のような話だ」

横になるとにわかに旅の疲れが感じられた。