Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Lisez 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 244 473 caractères · 487 écrans

Aozora Bunko

――来たな。

と彼は坐り直し、左に置いてあった刀を、右がわへ、少し離して置き直した。

玄関へはゆかず、坪庭から濡縁のさきへ、一人の武士が近寄って来た。どっしりと肥えた、七寸あまりもある堂々たる躯で、黒い衣服に縞の袴をはき、柄の白い脇差だけを差していた。

聞いたとおり、眼だけ出した覆面で、濡縁のところまで来ると、暫くじっとこちらを見た。

――これは相当な人物だぞ。

そう思いながら、万三郎も静かに見返していた。

覆面の武士が手を振ると、提灯を持っていた若い女中が会釈をして去っていった。武士は悠然とした動作で濡縁にあがり、部屋へ入って来た。その動作の一つ一つが、尺で計るかのようにきっぱりとして、半歩の迷いもなく、床を背にして坐った。

万三郎は相手が坐るまで黙っていた。それから、やはり黙ったままで、袋に入れて持って来た、蔵人の脇差をそこへ差出した。

「当人の来られない理由は」

相手が云った。謡曲でもやるような、韻の深い、きれいな声であった。万三郎は相手の眼を見たまま、静かに答えた。

「敵の監視が厳しいうえに、加波山で手傷を負いまして、暫く動くことができないのです」