Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lisez 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 244 473 caractères · 487 écrans
岡さまは殆んどなにも云わなかった。松吉がなにか話しかけると、頷くか、簡単な返辞をするだけで、少し酔っているのだろう、赤くなった顔で、ゆったりと両岸の景色を眺めていた。
「あら、あそこだわ」
おちづがふいに大きな声をだしたので、松吉も吃驚したが、岡さまも驚いたとみえ、屹とこっちへ振向いた。
その、振向いたときの、岡さまの顔を見て、おちづはまた、水を浴びたようにぞっとした。
「どうしたの、いきなりそんな声をだして」
と松吉姐さんが咎めた。
三
「あそこで、――」
とおちづは岸のほうを指さした。
「このまえ、いやなやつと良い人に会ったんです、このまえ升屋へお座敷のあった日なんです」
「このまえって、十一日のときかえ」
「そうです」
答えながら、おちづはそっと岡さまのほうを見た。岡さまはもう、いつものおっとりした顔になっていた。
だがおちづの眼には、一瞬まえの、岡さまの表情がはっきり残っていた。おちづの声に驚いて、こっちへ振返ったときの顔は、いつもの岡さまではなかった。
濃い眉が歪み、眼は鷲のようにするどい光りを放った、僅かに開いた唇の間から、白い歯が見え、頬がぐっと落ち窪んだ。