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Japanische Klassiker mit Furigana

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チベットりょこうき

チベット旅行記

河口 慧海

Lesen Sie チベット旅行記 (チベットりょこうき) von 河口 慧海 (かわぐちえかい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 531.520 Zeichen · 1042 Bildschirme

Aozora Bunko

入蔵を思い立った原因

入蔵を思い立った原因 でありまして、ちょうどその時が明治二十六年の四月で今より満十年余以前のことでござりますけれども、チベットは厳重に鎖国主義を実行して居る国で、有力なる西洋人が沢山の金を費やし多くの光陰を費やし種々の準備を調えて行ってすらも今日失敗に帰して居る者が多い中に、我々ごとき一介の貧僧が出掛けたところがはたして目的を達することが出来るかどうか。また自分はそんな冒険な事をやらないでも黄檗宗の一寺の住職になって居りさえすればごく安楽に過せる位置までに進んで居ります。現に東京本所の五百羅漢の住職もし、その後は宗内にも河口慧海という名が喧しく言われるようになったから、自分さえ寺を持つという考えがあれば非常に便宜な地位を占めて居ったのであります。それを打棄てて死ぬか活きるか分らない国へ行くということはいかにも馬鹿げた話のようですけれども、これは畢竟世間普通の考えで真実事業の為には便宜の地位を犠牲にする位の事は訳のない事であります。

ただこの際自分の父母なり同胞なり他の朋友なりが私のある為に幾分の便宜を持って居る者もあり、また私の教えを受けることを好んで居る信者も沢山ある。