Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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チベットりょこうき

チベット旅行記

河口 慧海

Lesen Sie チベット旅行記 (チベットりょこうき) von 河口 慧海 (かわぐちえかい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 531.520 Zeichen · 1042 Bildschirme

Aozora Bunko

美人夜叉と変ず

ですから一家の内は和楽して実は悦ばしく過して居たのです。また世間から見ても財産もあり万事整うて居るから非常に安楽であろうとこう見られる訳で私どももつい結構な活計だなと思って居りました。しかるに私がそのラタークの商人の宅から帰って参りますと

美人夜叉と変ず で何か家内で非常な喧嘩が始まったような声がして居る。何か知らんとテントの内へ入って見ますとその菩薩のような美人の妻君は夜叉のような顔になって角は生えて居らなかったけれど真赤な顔になってラマに対して悪口を言って居る。その憎気な言い草と言ったら通常の耳をもって聞くことが出来ない。よその腐れ女をどうとかしたとか女が出て来ると要らぬ物まで遣るとかあるいはどこそこの女にこういう事をしたとか、それから自分の親類の者には内の物を沢山遣っていながらおらが親類の者には何もくれないとか、お前のような者は畜生である、犬であると罵るその鋭い有様というものは全く狂気の沙汰と外見えないようです。ところがそのラマはごく温和な人ですから黙って居られるけれど、いかにも私が帰って来たのでその手前もあったものと見えてこの畜生と言って立ち上ってその美人を一つ打つ真似をしたんです。