Japanische Klassiker mit Furigana
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チベットりょこうき
チベット旅行記
河口 慧海
Lesen Sie チベット旅行記 (チベットりょこうき) von 河口 慧海 (かわぐちえかい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 531.520 Zeichen · 1042 Bildschirme
第百四十一回 疑獄事件
ヒマラヤ山中のマラリヤ熱
私は病気揚句でその熱気に堪えることは出来ない。殊にチベットの寒い国に長く住んで居ったものですから、急にインドへ出てしまうと折角治った病気が再発するという懸念もあり、医者の勧告もあり、かたがた三ヵ月はダージリンに止まるがよいということでそこに止まることにした。
ようやく十月頃になるとラサ府から商人が出て来ました。それまではほとんどこのパーリーとダージリン間の交通は杜絶されて居るといってもよい位。私の通って来た時分はもうごく仕舞の荷物をカリンポンまで送り出すという場合で、その後は誰も通らぬ事になって居る。けれどもトモ・リンチェンガン辺りの人間は気候に慣れて居るから熱病を煩うことは少ない。チベット人は私の出て来た時分に来れば必ず熱病に罹るに極って居るですから、その時分は誰も往来しない。私はその事をよく知って居った。
もとよりヒマラヤ山中は夏季に旅行することは出来ぬ。北部の雪のある辺ばかりなればそれは大丈夫であるけれども、南部の谷間の方にはいつもマラリヤ熱があるです。もしマラリヤ熱に冒されぬにしても、熱気が厳しいからどの道、外の熱病を惹き起す憂があります。