Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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チベットりょこうき

チベット旅行記

河口 慧海

Lesen Sie チベット旅行記 (チベットりょこうき) von 河口 慧海 (かわぐちえかい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 531.520 Zeichen · 1042 Bildschirme

Aozora Bunko

という懇ろなお話でありました。

そこで私は「皆さんの仰しゃるところは道理ですけれども、それじゃあどうも日本人の義気というものは全く失くなってしまう。殊に私は仏教を修めて居るもので、何の因縁がなくても人の困難を救わにゃあならぬほどの職分を持って居る。まして因縁あるのみならず、私はその人達より一方ならぬ深い恩を受け、私がここまで出て来る事の出来ないのを出て来られるようにほとんど仕向けてくれたといってもよい恩人が今日禍いに罹って居るのを知りながら、自分は大切な身分であるからといって打棄てて日本に帰るということはどうしても出来ない。私は今こういう所に暖かに寝起きして居るが、さて私の恩人である人、友人である方は今ラサ府でどういう苦しみを受けて居るであろうか。昼は残忍なる攻苦に遇い、夜は殊に寒いチベットの獄屋、日当りのない石牢の中に入れられて食物は僅かに日に一度の麦焦し、どうして過して居るか知らんと思うと私は寝て居る中にも涙が出て腸を断ち截かるるの思いがある。そういう事情に迫って居るのを知りながら打棄てて帰ることは出来ません」と断然答えました。

第百四十四回 奥中将を軍営に訪う