Japanische Klassiker mit Furigana
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チベットりょこうき
チベット旅行記
河口 慧海
Lesen Sie チベット旅行記 (チベットりょこうき) von 河口 慧海 (かわぐちえかい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 531.520 Zeichen · 1042 Bildschirme
天人の悲嘆
て大いに声を挙げて泣き立てる者が沢山あったそうです。ただその諸人が泣くのみかその日の空は曇って霏々として雨が降り出しました。これ天地もかかる道徳堅固の尊者を無残にも水中に投じて死刑に処するということを悲しむにやあらんと思われるほど、空の色も陰欝として哀れげなる光景を呈して居ったそうでございます。元来尊者は身に赤色の三衣を纒わねばならぬ御身分ですが、罪人となって白い獄衣を着けて居られる上に荒繩で縛られたまま静かに坐禅して経を読んで居られましたが、やがて経を読みおわり繩目の間から少しく指を挙げて一度爪弾きをされたその時は、岸辺に群がる見送人は一時にワーッと泣き出したそうでございます。
天人の悲嘆 尊者は弾指三たびに及んでもはや我を死刑に処せよという合図を致しましたが、死刑執行官吏は自分自ら尊者に手を掛けて川の中へ投げ込むに忍びず潜然と涙を流して見送人と共に嘆きに沈んで居る様はいかにも悲惨の状態であったです。ところで尊者は静かに言わるるには「もはや時が来たのにお前達は何をして居るのか早く我を水中に投ぜよ」と促されて、立会官吏も泣きながら尊者の腰に石を括り付けその石と共に静かに川に沈め暫くして上に挙げて見ますと、尊者は定に入られたごとくまだ呼吸を引き取って居りませぬ。