Japanische Klassiker mit Furigana
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チベットりょこうき
チベット旅行記
河口 慧海
Lesen Sie チベット旅行記 (チベットりょこうき) von 河口 慧海 (かわぐちえかい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 531.520 Zeichen · 1042 Bildschirme
そういう面白い光景も不風流なるチベット人には……呟く種とほかならぬ。
「どうもこんな所で雨に降出されては困る」といって、私の下僕は非常に怒って居りまして「天道様があるならば日和にしてくれればよいのに困ったものだ。荷物が湿って重くなって仕様がありゃあしない。どこにも今夜泊る所があるのではなし、困ったな」と非常に呟くのは無理はないです。苦しいには相違ないが、もし景色を愛する心があったなればその苦しみは忘れたろうと思う。けれども彼らには景色を愛する観念は少しもない。また奇態にチベット人は景色の趣味を持って居らぬ。石磧や禿山の中で生れた人間が多いのですから景色の趣味を解することが出来ぬと見える。絵でもチベット固有の景色を描いたものは一枚もない。もしあればその絵は必ずシナの絵を真似て書いた位のもんです。
ですから私の下僕などはそういう景色のよい所へ来ても、ヤクの糞の粒々行列して居る野原へ来ても一向平気なものです。雨の降ってるのも自分の着物の濡れるのも打忘れて面白くて堪らぬ。私がもし絵を書くことが出来て、この景色を描いて持って帰ったらさぞ人が喜ぶだろう。写真機械があってこういう景色を写して行ったら、どんなに人が喜ぶだろうかと思うほど惜しくて堪らぬような景色。