Japanische Klassiker mit Furigana
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チベットりょこうき
チベット旅行記
河口 慧海
Lesen Sie チベット旅行記 (チベットりょこうき) von 河口 慧海 (かわぐちえかい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 531.520 Zeichen · 1042 Bildschirme
「なぜ出ぬか」といって、押出そうとする。私は黙って知らぬ振りをして居りますと、番兵らしい者が出て来て、「柵外に出ろ」といって厳命を下した。「私は総理殿下の命令で今日遇いに来いといわれたから来たので、私は出ませぬ」といって少しも動かずに居りますと、だんだん迫って来てついには私の座って居るのを後ろから襟をひっ掴んでずっと上に引上げた。すると私はぴょいと立上った。その途端に番兵は片っ方の手で私を引上げて置いてドーンと一つ私の背中を打ったです。
ひょろひょろ転げかけるところを無手と私の襟をひっ捉まえて、まるで賽の磧の子供が鬼にふん捉まえられて行くような具合に、柵外へ掴み出されてしまった。そうすると外の兵士共や見物人が一同にどっと笑い出し、中には嘲けるような人もあったです。この時ばかりは何ぼ心ない出家の身にも不愉快を感じました。しかしこういう場合に不愉快を感ずるというのは自分の忍辱心が乏しいからで、実に自分はまだ修行が届かぬと不愉快の念を戒めながらジーッと草叢の上へ座り込みました。
思えば思うほどかかる兵士の無礼を怒るより自分の忍辱心の足らないのを歎きました。