Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
と、また烈しい力で振り下ろした。
仏の加護といおうか、紙一重の差で、鋭い手斧の刃は、お吉の黒髪をかすめたのみで、横へ反れた。
「ちぇッ」平次郎は、悪鬼の舌打ちをならした。そしてなお逃げ転ぶお吉を追って、
「阿女っ、逃がしゃあしねえぞっ」と、さけんで躍った。
――お吉は走った。どこへどういう目的などは元よりないのである。藪や畑や雑草の中を、ただ怖ろしさに駆けられるだけ駆けたのだった。
「……アア」しかし、女の足には限りがあった。心臓が圧しつぶされるように苦しい。お吉は、大きな息をあえいで、べたと大地に坐ってしまった。
と――その大地を打って、ばたばたと追いかけてくる者の跫音がひびいてくる。お吉はハッとしてまた起った。――起ち上がったが、もう、肺はそれ以上に走ることに耐えなくなっていた。よろよろと蹌めいてしまう。
「待たねえかっ、畜生っ」平次郎の声だった、声までがもう夜叉の叫びのように物凄くしゃがれているのである。
「ど、どうしよう」お吉は髪の根まで熱くなった。息は喘れるし、助けを呼ぶにもこの深夜に誰がいよう。
もう後ろから来る荒い跫音は、すぐ近くまで追いついてきた。