Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate

Aozora Bunko

二

「……おや、松虫さま、嘘ばかりおっしゃって」

「どうして」

「誰も通らないといったくせに、あんなに、ぞろぞろと、どこかへ人が行くではありませんか」

「この辻へ来てからでしょう。ごらん遊ばせ、みな同じ横から曲がってくる」

「どこへ行く人達でしょう」

「鹿ヶ谷の方」

「何があるのかしら?」

「問うてみましょう」二人は、樹蔭に陽をよけて、佇みながら、往来をながめていた。

奴袴をはいた男たちや、烏帽子を汗によごしてゆく町の者や、子どもや、老人や、髪をつかねた女や――中には太刀を厳かに横たえた武士とか、良家の女房らしい姿も、まじってみえた。

如意ヶ岳のふもとの方へ近づいてゆくにつれて、並木から、細い小路から、辻へ出るごとに、その人数は増していた。そして、蟻のように、同じ方角の道へ、つづいて行くのだった。

「もし」と、松虫が、これも汗ばんで行く一人の女へ、そっと訊ねてみた。

「――あの、今日は、皆さまの行く方に、何かあるのでございますか」女は、髪の生え際の汗を、袂で拭いて、松虫と鈴虫のすがたを、じっと見ていた。

「――あなた方は、御所のお方でございますね」

「え」と、松虫は、なんだか、生々とした生活力の中にある同性の眼にながめられるのが、肩身のせまいように覚えて、小さい声で答えた。