Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
六
六
遠くで、夜明けの鶏の声がする――
しかし、顔をあげてみると、まだ外は暗いのであった。
ジ、ジ、ジ……と燈りの蝋涙が泣くように消えかかる。
その明滅する燈火の光が、廟の古びた壁にゆらゆらうごいた。
「? ……」夜明けまでのもう一刻をと、しずかに瞑想していた範宴は、ふと、太子の御霊廟にちかい一方の古壁に何やら無数の蜘蛛のようにうごめいているものをみいだして眸を吸いつけられていた。
燈灯が消えかかるので、彼はそっと掌で風をかこいながら、そこの壁ぎわまで進んで行った。
見ると、誰が書いたのか、年経た墨のあとが、壁の古びと共に、消えのこっていて、じっと、眼をこらせば、かすかにこう読まれる――
日域は大乗相応の地たり
あきらかに聴け
諦かに聴け、
我が教令を
汝の命根まさに十余歳なるべし
命終りて
速かに浄土に入らん
善信、善信、真の菩薩
幾たびか口のうちで範宴はくりかえして読んだ。そして、
(誰の筆か?)と考えた。
弘法大師や、また自分のような一学僧や、そのほかにも、幾多の迷える雲水が、この廟に参籠したにちがいない。それらのうちの何者かが、書き残して行った字句にはちがいない。