Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
二
彼の心には常にこの山があった。この山は範宴にとって、心の故郷なのである。
二
鷺のように風に吹かれて佇んでいる二人の女性があった。雲母坂の登り口なのである。ここから先は女人の足を一歩もゆるさない浄地の結界とされているのだ。
千年杉の鬱蒼とつつんでいる登岳道も、白々と夜明けの光に濡れていた。
「姫さま、お寒くはございませぬか」
自分のかぶっている被衣を一方の女性へ羽織ってやろうとする。これを拒んでいるのは上笠に顔をかくしている姫と呼ばれた人であった。年ばえもうら若いし、足もとや体つきまでがいかにもこんな所のあらい風には馴れぬらしい嫋かな姿なのである。
「いいえ」と、微かにいう。
「そなたも、寒かろうに」
「なんの私などは」どこの女性でどういう身分の者なのであろうか。今ごろ、まだ夜も白みかけたばかりなのに、里から登ってきたとは思われぬし、なおのこと、上から降りてきたのではあるまい。思うにこの若い二人はゆうべすぐそこの赤山明神の拝殿にでも一夜の雨露をしのいだに相違ない。四明ヶ岳の壁にはまだ残雪の襞が白く描かれているが、この辺りではもう寒いというには足らない春のことである、その証拠にはあちらこちらの沢や谷で鶯の啼声がしぬいている。