Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
二
者はなかったが、他国の火事でも見るように、この人々も、そこへ走せつけて行こうとはしない。
大きな火ばしらは、音をたてて今、一棟を焼き仆していた。廓内の大樹にもみな火がついて、火の葉、火の華が、宙に咲いた。
――その下に、女たちや、幼子の悲鳴が聞えた。年景の側女だの、家族たちのいる棟へも、とうに火は移っていたのである。
「おいッ……おいッ……」煙のうちから、泣くようなわめきが響く。それは、年景の声らしかった。
「――小者っ、こっちだっ、こっちへ助けに来いっ」咽せながら、呼んでいる。
だが――奥に仕えている小侍や小者たちも、いったいどこへ行ってしまったのか、半分も影が見えなかった。そのくせ、真っ先に、暴徒のような勇気を奮って、奥の金目な物や、大事な什器などを、争って外へ担ぎ出していたのは彼らであったが、その品物も見あたらなければ、奉公人たちも見えないのである。年景はようやく気づいて、
「ふッ、不埒者めッ。主人の難儀を幸いに、あの奴らはみな、家財を盗んで逃亡しおったな。……ど、どうするか、後で見ておれ」
地だんだ踏んで、煙の中で、ただ二、三の召使と、必死になって、右往左往していた。