Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate

Aozora Bunko

三

果たしてそれが、国家のため、民くさのためだったろうか。

主君はそう受け取ってくれたろうか。平家が亡んだ後の源家の政治は、果たして国民の幸福を増してきたろうか。三郎盛綱はもだえた。

(怖ろしい、浅ましい。人は知らず、自分の肚の奥底を割ってみれば、そこには華やかな武者の道があって、ひたぶるに、君家のおんためという気持もあったが、何よりも自分を猛く雄々しくさせたものは、領地や位階であった、出世の欲望だった)こう考えつくと、彼はたまらなくなった。そしてついに、

(せめて、老後の一日だけでも、阿鼻叫喚の中からのがれて、こころのどかに、人らしく生きてみたいものだが――)そう気づいてから先の三郎盛綱は、往年の烈しい気性を、急角度に向きかえて、ひたぶるにそれを望み出した。――実に、多年のあいだの宿望だった。

(領地が何か? 位階が何か。――あさましやおれはこれで釣られて、一生を屠殺で送ってきた)

館も財宝も、もう彼の眼には、芥としか見えなかった。――だがすでに、彼の身は由々しき所領の大名となっていた、一族門葉も少なくはない、鎌倉との交渉も、簡単には参らない。彼はそれを捨てることに、どんなに長い腐心を費やしたか知れない。