Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
十一
「曲者さん、桜んぼを、上げようか」
十一
にこと笑って、
「――これは甘そうですね」曲者は、桜の実の一顆を口にいれて、ぽつりと噛んだ。
永い牢獄の飢えと苦熱に渇いた舌に、一顆の桜の実の汁が、何ともいわれない物の味を走らせた。思わず、四顆、五つ顆。
「これは、うまい」むさぼるように、掌のうえの紅玉を口へ入れて、胚子を吐きちらした。
食物にも、人情にも、渇き切っているらしい曲者のよろこびかたを見ると、十八公麿は、どこかへ走って行った。やがてまた、そこへ戻ってきた彼の手には、草紙の反古につつんだ麦菓子がつつまれていた。
「お食べ。――お菓子」
「えっ」牢格子の隙間からそれを見た曲者の眼は飛びつくように光っていた。
「私に菓子を下さるのですか。ありがとう! こういう所に永く押し込まれていると、気が狂うほど、甘い物が、欲しくなります。……ああ、ありがとう!」おののく手にそれを取ると、獣が人の跫音を憚るように、四辺を見まわして、口の中へ一つを押しこんで、残りを懐中へかくしてしまった。
十八公麿は、去りがてに、その前へしゃがみこんで、
「曲者さん、おいしいの」
「はい、これで、死んでもようございます。