Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
三
「――誰か今朝のことを、噂していないか」
猜疑に尖った眼は、群集をかき分けて、ふたたび廻廊の角にあたる所の――自分が殺人を犯した場所へ――怖々と行ってみた。
けれど、そこにも、人がいっぱいにいるだけで、なんの異状も見出されないし、
(河和田のお吉さんが殺された――)と、ささやいている者もない。
平次郎は、独り合点に、
「アア分った」と、胸のうちでつぶやいた。
「きょうはめでたい伽藍開きと共に、入仏供養という、この村創まって以来の日だ。……それで、お吉の死骸を、寺の者があわてて始末して、伽藍が血によごれたなんてことも、そっと隠しているにちがいない」こう自分勝手に解釈をきめると、平次郎は、なんだか不安心でもあるし、安心したような気もしてきた。
(落着いていろ、口を拭いていろ)と、彼は自分へつよくいって聞かせた。
急に、辺りの者が、一斉にべたべたと大地へ土下座し始めたので、平次郎もあわてて坐った。
いや、その辺りばかりでなく、山門から境内の者すべて、一人として、立っている者がなくなったのである。萱の風に伏すように、すべての人々が、頭を下げ、念仏を唱和し、やがて、撞き出された梵鐘の音と共に、しいんとした静寂が見舞った。