Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
二
二
「弟か、よいところへ」と範綱は、もう宗業が同行するものと独りぎめに決めて、歩みだしていた。
「粟田口の大僧正のもとへ、添削の詠草を、持って参ろうと思う。そちも来ぬか」
「参りましょう」
「そして、帰りには、日野へ立ち寄って、十八公麿の笑顔を見よう」
「見るたびに、大きゅう育って参りますな」
「ははは。嬰児じゃもの、育つは、当りまえだ」
「でも、十日も見ぬと、まるで変っているから驚く」
「おまえも、こしらえたらどうだ」
「なかなか」宗業は、首を振って、
「平家といえば、平家の端くれでも嫁に来てがあるが、落魄れ藤家の、それも、御所の書記などの小役人へは、今の女性は、嫁にも来ないからなあ」と喞った。
「――といって、従四位藤原朝臣と、痩せても枯れても、位階があれば、雑人や、凡下の娘を、妻にも持てず……」
空地の牛が、晩秋の長閑かな陽なたに寝そべって、悠長な声を曳いて、啼いていた。
弟の喞ち語に、範綱は、同情をもって、うなずいた。
けれどまた、妻をもち、沢山な子をもち、位階と貧乏の板ばさみになって、老いさらぼっている同族の誰彼よりは、まだまだ独り身が気楽なのだ――とは、いつも、彼が弟をなだめる言葉の一つであった。