Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate

Aozora Bunko

六

河原づたいに、彼は、洛中へまぎれ込んだ。そして、様子を聞くと、市中は沸くような騒ぎなのだ。そして、口々に、

「御停止じゃ」

「念仏は、一言も」

「ああ、南無」

「それ、うかつに口へ出すと」

恟々と、人心はおののいている。彼らには、なぜ念仏を口にすれば国法にふれるのか、いってならないのか、分らなかった。――つい幾年前には、畏きあたりまで召されて、その講義を嘉し賜い、堂上や多くの尊敬すべき人たちまでが、かつてはこれこそ人生最高のかがやきと仰ぎ唱えた念仏を、それを、口にしても、国法の犯人になる。――どうしても解かれない疑いだった。

そうして、御所の陽明門のあたりを見ると、制札が、ここにも墨黒々と立っていて、傍らの武者溜りには、伊賀判官末貞とか、周防元国などという人々が、市中警備の奉行となって、夜もあかあかと松明や篝火に冬の月をいぶしているのだった。

ぽつ、ぽつ、と時折その前を通る人影は、槍の光を見て、遠く足を浮かして歩いて行ったり、また、高札の前に立って、

「えらいこっちゃなあ」と、嘆息と共に読んで去る者もあった。

――と、一人の男が、頭には法衣をかぶって、足には破れた草履を穿ち、じろりと、奉行の武者溜りを横目に見て通りかけたが、突然肩をゆすぶって笑いだした。