Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
五
法然は終始じいっと眦りをふさいで聞いていたが、やがて半眼にひらいた眼には同情の光がいっぱいあふれていた。いじらしげに、二十九歳の青年の惨たる求法の旅の姿を見るのであった。ひたむきに難行道の嶮路にかかって、現在の因習仏教の矛盾と闘い、社会と法門のあいだの混濁を泳ぎぬき、さらに、その旺な情熱と肉体とは、女性との恋愛問題とぶつかって、死ぬか、生きるかの――肉体的にも精神的にも、まったく、荊と暗黒のなかに立って、どう行くべきか、僧として、人間として、その方向さえ失っているというのである。
「わたくしは、ついに、だめな人間でしょうか。忌憚なく仰っしゃって下さい」と、範宴は、熱い息でいった。
「いや……」法然の顔が、わずかに左右へうごくのを見て、
「だめな人間ならば、死ぬのが、もっとも自分に与えられた道だと思うのですが」
「あなたは、選まれた人だと私は思う。この人間界に、五百ヵ年に一度か、千年に一度しか生れないもののうちのお一人だと思う」
「どうしてでしょう」
「今に、ご自身で、慧解なさる日が必ず来る」
「そうでしょうか」
「お寛ろぎなさい。もっと、楽な気もちにおなりなさい。