Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
孔雀明王
一
柿いろの笹袿に、黒い脛巾を穿いて、頭には兜巾を当て、足には八ツ目の草鞋をきびしく固めている。
いうまでもなく優婆塞の一人である、同じ姿の山伏が、そこから切ッ立てに聳えている岩の上にも一人突ッ立っていた。それは、笈を負い、手に半弓を掻い挟んで、じっと、麓の道をさっきから見すましているのだった。
「小川坊っ、まだ見えないか」下の者がいうと、
「まだ!」と、上の山伏は頭を振る。しばらくしてまた、
「おウウい」
「なんじゃ」
「甲賀坊は、どうしたか」
「あれか、甲賀坊は、万一の場合にと、筑波の野武士を狩り集めに行った。そう、人数はいるまいと思うが、水も洩らさぬ手配はしておいたほうがいい。……やがてもうその甲賀坊も戻ってこようが」
「そうか、ではそこの見張りは、しかと頼むぞ」
「峠の者こそ、抜かるなといってくれ」乾からびた笑い声をながして、下の者は、すたすたと胸突坂を登って行った。すると、不意に、
「常陸坊」と、高き松の樹の上から誰かが呼びとめる。
振り仰ぐと、その樹の上にも、一人の山伏が、蝉のように止まって物見をしていた。
「オオ、なんだ」
「まだ来ぬか――親鸞は」
「物見の役が、人にものを訊くのはおかしい。