Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
七
わんッ! その時、犢のような一匹の熊野犬が、いきなり、輦の前に躍って鞭をあげた覚明の脚へ噛みついた。
七
「畜生っ」覚明は、噛まれた脚をあげて、黒犬の顎を蹴った。
きゃんッ――悲鳴をあげて、熊野犬は、薄赤い腹を見せてころがったが、その尾の端へ、勢いよく廻っている輦の轍が乗ったので、さらに、ふた声ほど、鋭く啼きたてて、横っ飛びに、群集の中へかくれこんだ。
そこに――その犬の逃げこんだ所に、一人の山伏の顔が見えた。聖護院に籍を持つ播磨房弁円である。
さっきから、群集の中にまじって、煽動したり、自分も怒号したりしていたのであったが、黒が、血まみれになって、足もとへ帰ってきたのを見ると、もう、理性のささえを失ったように、
「この野郎ッ」喚いて、輦のそばへ、寄ってきたかと思うと、腕をのばして、藤色の縁に朱の絹房の垂れているそこの簾を、ぱりっと、力にまかせて、引き千断った。
裂けた御簾の糸や竹が、蜘蛛の巣のように、弁円の兜巾へかぶさった。そして、輦のうちの綽空の横顔が、雲を払った月のように、鮮やかに彼の目に映った。
積年の憎悪と、呪いとが、弁円の踵の先から満身へ燃えあがった。