Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
九
まことに、誰が見ても、怪しむほかない善信の姿だった。彼が放けた火は、もう消すにも消しようのない大きな焔のかたまりとなって、炎々と、妖しい火の粉を星月夜へ噴きあげている。
黙然と、その火を、善信はすこし離れた所に立って見惚れているのだ。――照らされている白い顔が、微笑すらうかべているように見える。
「なんで」
「どうなされましたか」
「師の御房――」口々にいいながら、性善坊やその他の人たちが、彼のそばへ、驚きの顔をあつめてきた。そして、焔と、師の顔いろを、粛然と見くらべた。
「芥を焼いているだけのことじゃ」善信のことばは、一丈もある焔のかたまりに対して、水のように冷静だった。
「――こういう物に、ふたたび乗る善信でないゆえに。また、この草庵に無用な雑物は、念仏の邪げとなるゆえに。――なお、きょうの出来事すべて、この身の落度と思うにつけ、自戒のためにも、こうするのじゃ」人々は、首を垂れていた。
すると、その人たちのあいだから、侍女に手つだわせて、見事な衣裳や女の道具を、惜し気もなく、焔のうちへ投げ込む者があった。
見ると、裏方の玉日なのである。その調度の品々は、みな彼女が、生家の九条家からほんの手廻りの物として運んできた婚礼道具であった。