Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
五
その上に彼はまた、ほかの七歳ばかりの子を背中に負い、
「さっ、早く」と、以前の大樹の下までのがれてきた。年景の妻は、
「忘れませぬ、忘れませぬ、死んでもこのご恩は――」と、手をあわせた。子たちは、まだ泣いていた。
「父様あ」
「父は……父は……」いじらしいほど、小さい瞳に真剣をもって探しまわる。そこへまた、西仏のすがたが見えた。西仏に聞けば、萩原年景は、生信房が奥の家族を救いに行ったのを見ると、敢然と、燃えさかっている役所のうちへ駈けこみ、火達磨のようになって、今や内部の重要な書類を廓外へ持ち出しているという。
「そうか、じゃあわしも」と、生信房が、助けに駈け行こうとすると、
「いや、お身はこの女子どもを、もっと安全な所まで連れて行ってくれい。年景どのへは、わしが手伝っているから」と、西仏はあちらへ駈け去ってしまった。
そのうちに、風はいよいよ烈しくなって、乾ききった地上を、板のような火の粉が、ぐわらぐわらところがり廻る。子は泣きさけぶ。年景の妻の髪の毛にまで、火が落ちて、燃えかかる。
生信房は、彼自身さえ、ともすると煙に巻かれそうになったが必死になって、その一人一人を、曲輪の外へ、かかえ出した。