Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
七
頭がそれでいっぱいになっていた。
――彼方から師の善信はこっちへ歩んでくるのだった。いつになく恐い顔を持って。
「…………」覚明は樹蔭に息をころしていたが、師のすがたが、立ちどまって、怒っている濃い眉毛に、一抹の憂いをたたえ、その眼を、あなたこなたへやりながら、いかにも心配らしく、自分の姿を探しているらしい様子なのをながめると、堪らなくなって、
「師の御房……不埒者の覚明はここにおりました」走り出て、その前へ、ぺたっと両手をつかえた。善信は、眼を落して、
「むむ……」なんともいいようのない感情をその顔に燃やした。
憎んでいいのか、いたわっていいのか、善信は自分もまた余りにこの覚明と近い感情の持主であるがゆえになんともいう言葉がなかった。
――だが、自分たち師弟は、一に仏の僕であって、どういう場合の裁きも、小さな我見であってはならない、御仏の旨をもって、自分も裁き、人も裁くのでなければならない。
閉じていた善信の眸は、やがて、静かにみひらいた。
「覚明……。お身は二十年の精進と徳行とを一瞬に無に帰してしまわれたの。千日刈った萱を、一時の憤懣に焼いてしまわれた――」