Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
輦を焼く
一
「ああ」太陽を仰いで、いかにも自己の生命を抱きしめるように、足を止め、やがて礼拝していた。
善信(親鸞)であった。
冬から春まで、旅のあいだを、着どおしに汚れている僧衣――うすい法衣――旅づつみ――誰が知ろう、この人が、嫉視と羨望の的になって世を騒がせた月輪の九条殿の法師聟であろうとは。
そして、まだ結婚して間のない新妻の玉日を、独り草庵の孤閨に残して、旅に出ている人であろうとは。
――で、巷の往来の者は、彼とすれちがっても、
(や、昔の範宴少納言が)とも、
(吉水の綽空が行く)とも気のつく者はない。
善信もまた、わき見もしないで歩いてゆく。さすがに、彼も、この京都の地を踏んでは、岡崎の家がなつかしいのであろう、新妻の笑顔にも早く接したいのであろう、加茂川にそって、白河のほうへ行くのである。
しかし、この京都へ戻ってきて彼がすぐ訪れたのは、その草庵でも、新妻のそばでもなかった。
ゆうべ、おととい、先おととい。――こう三日三晩を彼が送っている所は、六角堂の精舎であった。
河内の磯長の里の叡福寺にある聖徳太子の御廟へ参ることと、この六角堂へ籠って、心ゆくまで、感謝と、礼念をささげ、また、過去の追想からしずかに将来を考えてみたいということが、そもそも、こんどの旅の目的であったから――。