Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
二
八十に近い長者はほくほくして自分の撒いた銭を拾う群れを見ていた。何でもこの長者は戦のためにわずか一代で莫大な富を得た商人であったが、仁和寺の法筵で説教を聞いてからにわかに何事か悟ったらしく、その富の大半を挙げて今日の慈善を思い立ったのだという噂であった。
自分で蓄えた黄金のために、自分の晩年に絶えず負担と警戒を感じていた長者は、肩がかるくなったように、
「ああ、これで助かった」といったそうである。そして長者の善行を賞め称える僧や門族や知己たちに囲まれて、長者は脱殻のように老いた体を授けられつつ、仁和寺の客間へ請ぜられて行った。
「ありがたいお人じゃ」
「大慈悲人じゃ」群衆はその姿へ感謝したが、救われたのは実は長者自身だった。かつてこの長者から酷い利息をしぼられたり、この長者の爪に燈をともすような強慾ぶりを憎んで、鬼長者の何のと陰口をきいた人たちもまじっていたが、そういう過去はさておいて、人々はとにかく今の長者の行いにすっかり感激して、それも仏陀の教化であるとして、等しく法悦につつまれていた。
そういう群れの中で、誰かがふいに、泥棒っと呶鳴った。泥棒という声をきくと傍の者はすぐ自分の懐中や袖へ手をやって検めてみた。