Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
四
「よしっ、今夜は」死を覚悟して、花頂山の麓へ降りて行ってみた。わざと道のない崖や谷間を、熊みたいに這って。
真夜中だった。なつかしや吉水禅房の棟は黒くもうそこに見える。彼は涙ばかりが先に立った。――どういってお詫びしようかと。
けれど、禅房の前へ立ってみると、夜半といっても、いつでも、一穂の灯は必ず見える奥の棟にもどこにも、人の気はいはなかった。墓場のようにしいんとしているのである。試みに門を打ちたたいてみても、石つぶてを抛ってみても。
「やっ……。これは」やがて愕然と気づいたのは、常に人々の出入りする表の門に、大きな丸太が二本、斜交いに打ちつけてあり、そこに、何やら官の高札らしいものが掲げてあった。
ぎょっとしながら――安楽房は顔をそれへ近づけたが、その時、
「誰だっ」闇の中で大きな声がひびいた。いや跫音も飛ぶように近づいてくる。安楽房ははね飛ばされたように、附近の林へ逃げこんだ。振向いてみると、二、三点の松明が方角ちがいを探している。明らかに、捕吏だった。――彼の目には地獄の火と邏卒のようにそれが映った。
生きたそらはなかった。絶えず何者かに追われるように――そしてさまざまな疑いと迷いに乱れながら加茂川まで走ってきた。