Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
一昨日も姫は夜もすがら眠らずに待ちこがれておいでになった。ゆうべも泣いて夜を明かされた。女ごころは女が知る、はたの見る眼のほうが辛い。
(憎いお人)と、彼女は、そこの築地を見あげて、うらめしく思う。
聖光院の土墻は、万野の眼に鉄壁のように見えた。穢土の闇と浄界の闇とを厳めしく境しているのだった。
「? ……」礫をほうって耳をすましている、なんのこたえもない、二つめを投げた、そして、築地の下に、被衣の影をじいっと佇ませていた。
葉柳の露が、蛍のようにきらきらと光る。たしかにこの前はこの辺から今のように抛った礫へすぐ答えがあったにと思う。さてはやはり世の浮かれ男のようにこの前のことばも嘘であったかもしれぬ、真にうけて痩せ細るほど信じている姫はいよいよご不愍である。もし、そういうことでもあるならば礫のみでは済ませない、明らさまに表門をたたいて男の酷薄を責めなければならない。
万野は、焦々しつつ、もう一度と小石をひろった、小石は柳の葉をちらして、遠い築地の中へ音もなく落ちた。薄情な男へこぼす涙のようになんの反応もありはしない。
「どうしよう」当惑した顔が被衣のうちで嘆息をつく。