Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
「おやっ」と、かがやいた。
「介だ!」箭四郎が、突然さけぶと、
「おっ、和子様がっ」於久里は、転ぶように、木戸のうちへ、駈けこんで行った。
「和子様がもどった」
「和子様」
「和子様」館のうちにつたわる狂喜の声が、外まできこえた。
「介ッ。介ッ」箭四郎は、両手をあげて、呼んでいた。十八公麿を背に負って、野をななめに、草を蹴って駈けてきた侍従介の顔には、すこしばかり血がにじんで、水に突っこんだように襟くびにまで汗がながれていた。
「箭四っ。うしろを閉めてくれっ」あえぎ声でいって、築地の中へ飛びこんだ。
箭四郎は、介にいわれた通り、そこを閉めた。西の木戸も、表門のくぐりも、堅く閉めておくようにと介はいいつけながら、奥の庭へ駈けて行った。
「おお」階梯のうえに見えた吉光の前は、介が、十八公麿を下ろすのも待たないで、駈け下りて、わが子を抱きとった。そのまま廻廊の上に戻って抱きしめたまま暫くはうれしいのと緊りつめた心のゆるみで、泣きぬれているのであった。
「和子」やがて、頬ずりの顔を離すと、母は、心のうちとは反対に、すこしきびしい眼をして、
「この母も、叔父様も、どのように案じていたことか。