Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
袖はやぶれ、小手は血に染んだ。頬から耳の辺へかけて、薄傷を負うと、血のすじが、顔中にちらかって、悽惨な二つの眼だけが、穴みたいに光っている。
肩で、あらい呼吸をつきながら、介は、一歩一歩と、後ずさった。
(和子様は、どうしたか?)それが気にかかる。
十八公麿の車は、萱叢の彼方に、位置も変えずに見えるが、そこへ行こうと思っても、炎と煙と、そして相手の刃とが妨げて、近よれないのであった。
「和子さまあっ――」介は、ついにさけんだ。
すると、ひーっという声が、車の方で聞えた。思わず、炎を見ずに、介は駈けだした。
「逃がすなっ」と、刃は追う。
「あっ」と、介は、仰天した。
もう、十八公麿の車は、炎々と紅蓮を上げて、燃えているのだ。軌も、車蓋も。
うわうーっ。地が揺るぎだすように、牛が吼えた。牛は、炎の車を背負って、突然、ぐわらぐわらと狂奔した。
八方に、かくれていた悪童たちは、怖れて、きゃっと、逃げ廻った。うろたえて、みずから火の方へ走って、火の海から逃げられなくなった子供もある。
「助けてーっ」自分で放けた火に溺れて、寿童丸も悲鳴をあげていた。しかし、怒りだした火牛は、仮借がなかった。